60代に多い目の病気|原因・症状・治療法を紹介
緑内障や白内障、加齢黄斑変性などのリスクが高まりますが、早期発見と予防で進行を抑えることができます。
このページでは、60代に多い目の病気の原因・症状・治療法をわかりやすく解説します。
1. 60代で注意すべき目の病気とは?
加齢とともに様々な目の病気のリスクも増加します。早期発見と適切な対策を行うことで、目の健康を長く保ち、快適な生活を送ることができます。
ここでは、60代で注意すべき目の病気について解説していきます。
白内障:60代で最も多い目の病気

60代から発症が増え始め、多くの人が影響を受けます。
【白内障の主な症状】
- 視界がかすんで見える
- 明るい場所でまぶしさを感じる
- 夜間の運転でライトがまぶしく見える
- 視力が低下して細かい作業がしにくい
日帰り手術が可能なケースも多く、術後は視力の改善が期待できます。
院長ブログ『白内障の症状』
緑内障:視野が狭くなる、放置すると失明も

60代以降で特に注意が必要で、日本の失明原因の第一位とされています。
眼圧の上昇が主な原因ですが、眼圧が正常でも発症するタイプもあります。
初期には自覚症状が少ないため、定期的な眼科検診で早期発見することが大切です。
【緑内障の主な症状】
- 初期:ほとんど自覚がない
- 中期:視野の一部が欠ける
- 進行:視界が大きく欠ける
60代を迎えたら、少なくとも年1回の眼科検診を受けるようにしましょう。
加齢黄斑変性:ものが歪んで見える、視力低下

特に60代以降で増加し、日本でも失明原因の主要因の1つに挙げられます。
中心部が見えにくくなるため、日常生活に大きな影響を及ぼします。
【加齢性黄斑変性の主な症状】
- ものが歪んで見える(直線が波打つように見える)
- 視界の中心が暗くなる・欠ける
- 読書や運転が困難になるほどの視力低下
少しでも歪みや見え方の異常を感じたら、すぐに眼科を受診しましょう。
飛蚊症|糸くずのようなものがフワフワ浮いて見えたりする症状

40〜50歳代から起こることが多く、60歳頃になると、約3割の人に飛蚊症があらわれるといわれます。
- 目の前に小さな黒い点がみえるようになった
- 透明のいとくずのようなものが見える
2. 60代の目の病気の原因と初期症状
原因や初期症状を正しく理解することで、早期発見・早期治療につながります。
このセクションでは、代表的な原因と症状をわかりやすく解説します。
60代に多い目の病気の原因とは?

加齢だけでなく、生活習慣や環境、遺伝も関係しており、予防や進行抑制のためには原因を理解しておくことが大切です。
【主な目の病気と原因】
・白内障
年齢を重ねることで水晶体が濁り、視界がかすんできます。
紫外線を浴びる時間が長いことや、喫煙などの生活習慣も原因になります。
・緑内障
眼圧が高くなることや、視神経に負担がかかることで発症します。
眼圧が正常でも起こる場合があり、遺伝や日々の生活習慣も関係します。
・加齢黄斑変性
網膜の中心にある黄斑が年齢とともに弱っていく病気です。
タバコや食生活の乱れ、家族に同じ病気がある場合などでリスクが高くなります。
・飛蚊症
飛蚊症は大きく「生理的飛蚊症」と「病的飛蚊症」のふたつに原因が分かれます。
生理的飛蚊症は加齢が原因であることが多い症状で、病的飛蚊症は眼病が原因で飛蚊症を起こしているケースです。
このように原因を知っておくことで、普段の生活を見直すきっかけになります。
初期症状から目の病気を早期発見するポイント
そのため「年齢のせいかな」と見過ごしてしまうことも少なくありません。
【主な病気と初期症状】
・白内障
視界のかすみ、光がまぶしい、眼鏡をかけてもはっきり見えにくい。
・緑内障
視野の一部が欠ける、視野が狭くなる。初期は気づきにくいので、検診が大切。
・加齢黄斑変性
中心がぼやける、直線が歪んで見える、視力が落ちてきた。
パソコンや、冷蔵庫に貼り付けた罫線(タテ、ヨコの垂直線)を、『片眼づつ』チェックすることができます。
・飛蚊症
黒く小さな点が見える、透明の糸くずのようなものが浮遊している、など本来見えるはずのないものが視界に浮かんで見える状態。
小さな違和感でも気づいたときに相談することで、治療につなげやすくなります。
早めの受診が安心につながります。
3. 60代の目の病気|診断と治療法
ここでは、眼科で行われる主な検査と、白内障・緑内障・加齢黄斑変性の治療法についてわかりやすく紹介します。
眼科で受ける主な検査と診断

定期的に検診を受けることで、病気の進行を防ぎ、視力を守ることができます。
【眼科での主な検査】
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| 検査 | 内容 |
|---|---|
| 視力検査 | 視力の程度を測定し、屈折異常(近視・遠視・乱視)を確認。 |
| 眼圧検査 | 眼球内の圧力を測り、緑内障のリスクを調べる。 |
| 細隙灯顕微鏡検査 | 目の表面から奥まで観察し、白内障や角膜・網膜の異常を確認。 |
| 眼底検査 | 眼底の血管や網膜をチェックし、加齢黄斑変性や糖尿病網膜症を診断。 |
気になる症状があるときは、自己判断せず、早めに眼科を受診することが大切です。
白内障の治療法(手術・点眼薬)

進行すると視界がかすんだり、暗く感じたりして、日常生活に支障をきたします。
【白内障の主な治療法】
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| 治療法 | 目的 | 特徴 |
|---|---|---|
| 手術 (白内障手術) |
白内障により低下した視力を回復させる |
濁った水晶体を取り除き、人工の眼内レンズを挿入する |
| 点眼薬 | 白内障の進行を遅らせる | 完治はできず、手術までの補助的な役割 |
緑内障の治療法(点眼・レーザー・手術)

治療の目的は「病気の進行を抑え、視力を守ること」です。自覚症状が出にくいため、早期発見と継続的な治療がとても大切です。
【緑内障の主な治療法】
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| 治療法 | 目的 | 特徴 |
|---|---|---|
| 点眼薬 | 眼圧を下げて進行を抑える | ・最も基本的な治療 ・毎日決まった時間に使うことが大切で、種類は複数あり症状に合わせて選ばれる |
| レーザー治療 | 房水(目の中の水)の流れを改善 | ・点眼薬で効果が不十分なときに行う ・比較的短時間で終わり、眼圧を下げる効果が期待できる |
| 手術 | 房水を排出しやすくする | ・病気が進行している場合や、他の治療で効果がないときに行われる ・術式は症状に合わせて選ばれる |
加齢黄斑変性の治療法(注射・レーザー)
治療の目的は「進行を抑え、視力を維持すること」です。
早期発見と継続的な治療が非常に重要です。
【加齢黄斑変性の治療法】
»表はスクロールできます。
| 治療法 | 目的 | 特徴 |
|---|---|---|
| 薬物療法(注射) | 新しい血管の異常な増殖を抑える | ・抗VEGF薬を眼の中(硝子体内)する方法 ・定期的に注射を繰り返す必要があり、効果を維持するには継続が大切 |
| レーザー治療 | 異常な血管を焼灼し、進行を防ぐ | ・状態に応じて行われる治療 ・血管を狙ってレーザーを照射し、視力の低下を遅らせる効果が期待できる |
中心の見え方に違和感を覚えたら、早めに眼科を受診することが大切です。
飛蚊症の治療法|「生理的飛蚊症」と「病的飛蚊症」
●生理的飛蚊症の場合の治療法
生理的飛蚊症と診断された場合は、症状は比較的軽度が多く、治療の必要はないことがほとんどです。近年では、レーザーを用いて症状を緩和させるビトレオライシス(自費)や硝子体手術という方法もありますが、あまり心配せず、医師と経過を一緒にみていきましょう。
●病的飛蚊症の場合の治療法
眼病が原因で飛蚊症を起こしている場合はその眼病を特定し、その眼病に適した治療を行います。
原因となる眼病は様々ですが、以下の3つが比較的多くみられます。
✓網膜剥離・網膜裂孔
眼球の内側を覆う網膜が剥離することで視力低下が起こるのが、網膜剥離です。そして、網膜が裂け、穴が開いてしまう状態を網膜裂孔といいます。網膜剥離の寸前の状態です。
→詳しくはこちらへ
✓硝子体出血
眼球内を満たす、透明のゼリー状の組織「硝子体」の内部に血が混ざる病気が硝子体出血です。飛蚊症の症状のほか、目のかすみ、急な視力の低下などが起こることもあります。
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✓ぶどう膜炎
目の中のぶどう膜に炎症が起こる病気がぶどう膜炎です。飛蚊症のように小さな黒い点が見えたり、痒み、充血、かすみや視力の低下などが症状としてあらわれます。
→詳しくはこちらへ
4.60代からの目の健康を守る生活習慣
食事や運動、睡眠、紫外線対策を意識することで、白内障や緑内障などの病気予防にもつながります。
さらに、定期的に眼科検診を受けることが、早期発見・早期治療に欠かせません。
①バランスの取れた食事で目の病気を予防

特に、目を守る栄養素を意識的に摂ることが大切です。
【目の健康に役立つ主な栄養素】
- ルテイン・ゼアキサンチン:緑黄色野菜に多く含まれ、網膜を保護する
- ビタミンC:果物や野菜に含まれ、白内障のリスクを下げる
- ビタミンE:ナッツや植物油に豊富で、細胞の老化を防ぐ
- 亜鉛:魚介や肉類に多く、視覚機能をサポート
- アスタキサンチン:サケ(鮭)、エビに含まれ、眼精疲労対策や抗酸化作用
②適度な運動で血流を改善し目の健康を維持

全身の血流が良くなることで、目の隅々まで酸素や栄養が届きやすくなり、視力の維持につながります。
【目の健康におすすめの運動】
- ウォーキング:毎日20〜30分、無理のないペースで続けやすい
- ジョギング:心肺機能と血流を高め、全身の代謝を改善
- 水泳:全身運動で負担が少なく、リフレッシュ効果も期待できる
- ストレッチやヨガ:デスクワークによる肩こり・血行不良の改善に有効
③質の高い睡眠で目の疲れをリセット
質の高い睡眠をとることで、細胞の修復が進み、視力や目の健康維持に役立ちます。
【目の健康につながる睡眠のポイント】
- 毎日同じ時間に寝起きして、体内リズムを整える
- 7〜8時間の睡眠を確保する
- 寝室は暗く静かで、快適な温度に保つ
- 就寝前のスマホやパソコン使用は控える
- カフェインやアルコールの摂取を避ける
ぐっすり眠る習慣を続けることで、目の疲労をリセットしましょう。
④紫外線対策で白内障・黄斑変性を防ぐ

日常的に紫外線から目を守ることが、病気の予防につながります。
【目を守る紫外線対策のポイント】
- サングラスやUVカットメガネを着用する
- 帽子をかぶって直射日光を避ける
- 日差しの強い時間帯の外出を控える
- 日陰を利用して紫外線の影響を減らす
⑤定期的な眼科検診で病気を早期発見

自覚症状がなくても進行しているケースがあるため、定期的な受診が重要です。
【眼科検診でわかること】
- 視力低下や視野の異常をチェック
- 眼圧を測定し、緑内障のリスクを確認
- 眼底の状態を観察し、黄斑変性や糖尿病網膜症を発見
早期発見・早期治療を行うことで、将来の視力を守ることにつながります。
また糖尿病、高血圧、脂質異常症(高脂血症)、高尿酸血症(痛風)を罹患していて無治療または治療コントロール不良の方では、無自覚の網膜出血が生じやすく、初期段階では自覚症状がないことが多く、気づかないうちに病気が進行してしまうケースも少なくありません。自覚症状があった時には、かなり進行している状態です。
その為、早期発見・早期治療が非常に重要です。
症状が出る前に発見をする為に定期検診などを心掛けましょう。
5. 60代の目の病気に関するQ&A|よくある疑問にお答えします

ここでは「検診の頻度は?」「サプリは有効?」といったよくある質問に眼科医の視点から答えます。
Q1: 60代になると、なぜ目の病気のリスクが高まるのですか?
水晶体が濁って白内障になったり、視神経が弱って緑内障のリスクが上がったりします。
Q2: 目の病気は遺伝しますか?
特に家族に同じ病気の方がいる場合、60代以降で発症するリスクが高まると言われています。
遺伝的な要因だけでなく、生活習慣や加齢も影響するため、家族歴がある方は年1回以上の眼科検診がおすすめです。
Q3: 目の健康のために、サプリメントは有効ですか?

特にルテイン・ゼアキサンチン・ビタミンC・ビタミンE・アスタキサンチンなどの抗酸化成分は、白内障や加齢黄斑変性の予防サポートとして注目されています。
ただし、サプリメントはあくまで補助的な役割であり、基本はバランスの取れた食事です。
サプリを取り入れる際は、医師に相談して自分の目の状態に合った成分を選ぶことが大切です。
Q4: 目の疲れを感じたときの対処法は?

対処法の基本は、まず目を休ませることです。
このような方法を取り入れると、疲れ目の改善に役立ちます。
- 遠くの景色を見てピントをリセットする
- 蒸しタオル、ホットアイマスクなどで目を温め、血流を促す
- パソコンやスマホ作業では「20-20-20ルール」を実践する
- 意識的にまばたきを増やし、乾燥を防ぐ
- 人工涙液や保湿タイプの目薬でうるおいを補給する
Q5: 定期的な眼科検診は、どのくらいの頻度で受けるべきですか?
自覚症状がなくても、以下の頻度を目安に検診を受けましょう。
- 一般的な目安:年に1回の眼科検診
- 40歳以上の方:加齢による白内障・緑内障・加齢黄斑変性のリスクがあるため、定期的な受診が推奨されます
- 家族に目の病気がある方:遺伝リスクが高いため、年1回以上の検診を検討
- 症状を感じた場合:視力低下・視野の異常・かすみ目・まぶしさなどがあれば、すぐに受診するようにしましょう
糖尿病、高血圧、脂質異常症(高脂血症)、高尿酸血症(痛風)を罹患していて無治療または治療コントロール不良の方では、無自覚の網膜出血が生じやすく、初期段階では自覚症状がないことが多く、気づかないうちに病気が進行してしまうケースも少なくありません。自覚症状があった時には、かなり進行している状態です。
その為、早期発見・早期治療が非常に重要です。
Q6: どんな時に眼科を受診すべきですか?
- 視力低下(文字が読みにくい、見え方がぼやける)
- 視界のかすみや白っぽさ
- まぶしさを強く感じる
- 視野の一部が欠ける・狭くなる
- 目の痛みや強い違和感
- 充血や目の腫れが続く
早期に診断・治療を受けることで、進行を防ぎ、視力を守りましょう。
6.まとめ

日頃の生活習慣を見直し、正しい知識を持つことで、進行を防ぎ、快適な視力を保つことができます。
特に大切なのは、早期発見・早期治療です。症状がなくても、年に一度の眼科検診を受けて目の状態を確認しておきましょう。
見え方に不安を感じる方はもちろん、「まだ大丈夫」と思っている方も、この機会にぜひご相談ください。
少しの違和感でも早めの受診が、将来の視力を守るカギになります。
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(財)日本眼科学会 眼科専門医
相模原眼科 院長 岡野 喜一朗
