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糖尿病網膜症:初期症状から予防、治療まで徹底解説

2025年01月31日
目次
糖尿病網膜症(とうにょうびょうもうまくしょう)は、糖尿病の合併症として知られる深刻な目の病気です。
初期症状は自覚しにくいため、気づいた時には病気が進行していることも、、、。この記事では、糖尿病網膜症の初期症状から予防、治療まで、網羅的に解説します。
失明リスクや早期発見の重要性、生活習慣改善による予防策、レーザー治療などの治療法についても詳しく説明しますので、糖尿病患者の方、ご家族の方はぜひご一読ください。

糖尿病網膜症とは?原因と初期症状を詳しく解説

血糖値のコントロール不良
糖尿病網膜症は、糖尿病によって引き起こされる、深刻な目の病気です。
血糖値のコントロール不良が長期にわたると、網膜の血管にダメージを与え、様々な症状を引き起こします。
初期段階では自覚症状がないことが多く、気づかないうちに病気が進行してしまうケースも少なくありません。そのため、糖尿病患者の方々には早期発見と適切な治療が非常に重要になります。

糖尿病網膜症の原因

糖尿病網膜症の根本原因は、高血糖です。慢性的な高血糖状態が続くと、網膜の血管に障害が起こります。
具体的には、血管が脆くなったり、血管新生(けっかんしんせい:新しい血管が作られる)が起こったりします。これらの変化が視力障害につながるのです。
また糖尿病の持続期間や血糖コントロールの悪さ、高血圧や脂質異常症といった併存疾患も、発症リスクを高める要因となります。

糖尿病網膜症の初期症状

目がつらい痛い
初期の糖尿病網膜症は、多くの方に自覚症状がありません。そのため、定期的な眼科検診が不可欠です。
しかし、進行すると様々な症状が現れます。例えば、視界に黒い点や影が見える、物が歪んで見える、視力がぼやける、などです。これらの症状に気づいたら、すぐに眼科医を受診することが非常に重要です
初期症状は些細な変化であることが多く、見過ごされがちです。しかし、これらのサインを見逃さずに、早期に専門医による診察を受けることで、重症化を防ぎ、視力を守ることができます。
糖尿病と診断された方は、定期的な眼科検診を必ず受け、日頃から血糖値管理に努めましょう。

糖尿病網膜症の進行と失明リスク:初期症状から末期症状まで

目薬をさす
糖尿病網膜症は、放置すると徐々に進行し、失明に至る可能性のある深刻な病気です。初期症状から末期症状まで、段階的な進行とそれに伴うリスクについて詳しく解説します。

非増殖糖尿病網膜症

初期段階の糖尿病網膜症は、非増殖糖尿病網膜症(ひぞうしょくもうまくしょう)と呼ばれます。
この段階では、網膜の血管に微小な瘤(こぶ)が生じたり、血管が詰まったり(毛細血管閉塞:もうさいけっかんへいそく)、血液が漏れ出したりするなどの変化が起こります。
しかし多くの場合、この段階では自覚症状はほとんどありません。視力に影響が出始めるのは、病気がさらに進行してからとなることが多いです。

増殖糖尿病網膜症

非増殖糖尿病網膜症が進行すると、増殖糖尿病網膜症(ぞうしょくもうまくしょう)に移行します。
網膜の酸素不足を解消しようと、血管新生因子という物質が分泌され、異常な血管が網膜に新生します。これらの新しい血管は非常に弱く、出血や滲出液の漏出を起こしやすく、視力障害を招きます。さらに、網膜剥離や硝子体出血などの重篤な合併症を引き起こす可能性もあります。
この段階では、視力の低下、視野狭窄(しやきょうさく)、飛蚊症(ひぶんしょう:黒い点が飛ぶように見える)などの症状が現れることが多くなります。
この状況になると、緊急の治療が必要となるケースも少なくありません。

糖尿病網膜症の末期症状と失明リスク

盲目
増殖糖尿病網膜症がさらに進行すると、硝子体出血(しょうしたいしゅっけつ)が頻繁に起こり、視界が遮られ、深刻な視力障害を引き起こします。最悪の場合、網膜剥離や緑内障などを併発し、失明に至る可能性があります。

糖尿病網膜症による失明は、予防可能な失明原因の主要なものの1つです。そのため、早期発見と適切な治療が非常に重要となります。早期発見・早期治療は、視力の維持、ひいては生活の質の向上に大きく貢献します。
糖尿病網膜症の進行は、血糖コントロールの程度や糖尿病の病期、高血圧や脂質異常症などの合併症の有無などによって大きく影響を受けます。
徹底した血糖管理と定期的な眼科検診は、重篤な合併症を防ぎ、視力を守る上で極めて重要です。
早期発見と適切な治療によって、失明リスクを大幅に軽減できることを理解し、積極的な対応を心がけましょう。

糖尿病網膜症の予防:生活習慣改善と定期検査の重要性

血糖値計測
糖尿病網膜症は、適切な予防策を講じることで、その発症リスクを低減したり、進行を遅らせることが可能です。
ここでは、効果的な予防法として、生活習慣の改善と定期的な眼科検診の重要性について詳しく解説します。

生活習慣の改善:血糖コントロールが鍵

糖尿病網膜症の予防において、最も重要なのは血糖コントロールです。
血糖値が高い状態が続くと、網膜の血管にダメージを与え、病気を引き起こしたり悪化させたりするリスクが高まります。そのため、日々の生活の中で、以下の点に注意し、血糖値を安定させる努力が必要です。
STEP1

バランスの良い食事

糖質の摂取量を制限し、食物繊維が豊富な野菜や果物、タンパク質を多く含む食品を積極的に摂取しましょう。
栄養バランスの良い食事は、血糖値の急激な上昇を防ぎます。
STEP2

適度な運動

ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、血糖値のコントロールに効果があります。
毎日30分程度の運動を目標に、無理のない範囲で継続しましょう。 運動は、心血管系の健康増進にも繋がります。
STEP3

禁煙

喫煙は、血管の健康を損ない、糖尿病網膜症の発症リスクを高めます。 禁煙することで、血管の健康状態を改善し、糖尿病網膜症のリスクを軽減できます。
STEP4

適正体重の維持

肥満は、糖尿病やその合併症のリスクを高めます。 健康的な食事と運動によって、適正体重を維持することが重要です。
STEP5

ストレス管理

ストレスは血糖値を上昇させる可能性があります。ストレスを溜め込まないよう、趣味や休息時間を確保しましょう。
ストレス軽減のための工夫を積極的に取り入れることが大切です。
これらの生活習慣の改善は、糖尿病網膜症の予防だけでなく、糖尿病そのものの管理にも非常に有効です。 日々の積み重ねが、将来の健康に大きく影響します。

定期的な眼科検診:早期発見・早期治療が重要

検診
生活習慣の改善と同様に重要なのが、定期的な眼科検診です。
糖尿病網膜症は、初期段階では自覚症状がないことが多いため、定期的な検査によって早期発見することが非常に大切です。
早期発見できれば、適切な治療を開始することで、視力障害の進行を抑制し、失明のリスクを大幅に軽減できます。
眼科医による眼底検査では、網膜の血管の状態を詳しく調べることができます。
糖尿病を患っている方は、少なくとも年に一度は眼底検査を受けることを強くお勧めします。
症状が出てから受診するのではなく、定期的な検査を習慣づけることで、早期発見につながり、より効果的な治療が期待できます。 健康な視力を維持するためには、積極的な姿勢が不可欠です。

糖尿病網膜症の予防は、生活習慣の改善と定期的な眼科検診の両輪によって成り立ちます。 これらの予防策を積極的に実践することで、健康な視力を長く保ち、充実した生活を送ることが可能となります。 健康への投資は、将来の幸福への投資と言えるでしょう。

糖尿病網膜症の治療法:レーザー治療から手術治療

眼科検査
糖尿病網膜症と診断された場合、その進行具合や症状に応じて様々な治療法が選択されます。
早期発見・早期治療が視力予後を大きく左右するため、医師の指示に従い適切な治療を受けることが重要です。
ここでは、代表的な治療法であるレーザー治療を中心に、最新の治療法についても解説します。

レーザー光凝固術:血管の異常を修復する

糖尿病網膜症の治療において、最も広く行われているのがレーザー光凝固術です。
この治療法は、網膜の異常な血管をレーザー光で凝固させることで、出血や浮腫を抑制します。
具体的には、異常な新生血管を焼灼し、増殖を抑えることで、視力低下の進行を食い止めます。
レーザー光凝固術には、網膜全体を治療する広範囲光凝固と、病変部をピンポイントで治療する焦点光凝固があります。
治療は外来で行われ、局所麻酔で痛みを最小限に抑えることができます。

抗VEGF薬による硝子体注射:新生血管の増殖抑制

点眼目薬
近年、抗VEGF薬を用いた硝子体注射が注目を集めています。
VEGF(血管内皮増殖因子)は新生血管の増殖を促すタンパク質ですが、抗VEGF薬はこのVEGFの働きを阻害することで、新生血管の増殖を抑えて網膜浮腫を軽減する効果があります。
硝子体注射は、眼球内に直接薬剤を注入する治療法です。
レーザー光凝固術と併用されることも多く、より効果的な治療を目指します。
注射による痛みは比較的軽微ですが、個人差があります。

手術療法:高度な網膜症への対応

レーザー治療や硝子体注射で効果が得られない高度な糖尿病網膜症の場合、手術療法が必要となることがあります。
手術療法には、硝子体手術や網膜剥離手術などがあります。
硝子体手術は、眼球内の硝子体を除去し、出血や濁りを改善することで視力回復を目指します。
網膜剥離手術は、剥がれた網膜を元の位置に戻す手術です。これらの手術は専門的な技術が必要なため、高度な医療技術を持った眼科機関で行われます。
相模原眼科では、高度な網膜症の手術対応も行っておりますので、網膜症の手術が必要な場合はご相談下さい。
当院では、上記治療方法を全て日帰りで行えます。

治療選択における医師との連携:患者にとって最適な治療を

糖尿病網膜症の治療法は、患者さんの病状や年齢、合併症の有無など、様々な要因を考慮して医師が判断します。
そのため、定期的な検診を受け、医師とよく相談しながら、自分にとって最適な治療法を選択することが重要です。
治療効果を高めるためには、医師の指示に従い、治療計画や決められた投薬をきちんと守ることが必要不可欠になります。

糖尿病網膜症と他の目の病気:緑内障や白内障との関連性

眼鏡視力検査
糖尿病網膜症は、糖尿病の合併症として知られる代表的な目の病気ですが、他の目の病気と関連を持つ場合もあります。
特に緑内障や白内障との関連性が指摘されており、これら疾患の同時発症や相互作用について理解を深めることは、糖尿病患者の眼科ケアにおいて非常に重要です。

緑内障との関連性:高眼圧症と視神経障害のリスク増大

緑内障は、眼球内の圧力(眼圧)が高まることで視神経が障害され、視野狭窄や視力低下を引き起こす病気です。
糖尿病患者は、高眼圧症を発症するリスクが高く、結果として緑内障の発生率も上昇することが知られています。
糖尿病網膜症と緑内障が同時に発症する場合、治療や経過観察が複雑になるため、専門医による綿密な管理が必要です。
特に高血糖状態は視神経へのダメージを加速させる可能性があるため、血糖コントロールは両疾患の予防・治療において非常に重要です。
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白内障との関連性:水晶体の濁りと視力障害の悪化

白内障の眼球
白内障は、目のレンズである水晶体が濁ることで視力低下を引き起こす病気です。
糖尿病患者は、一般の人口と比較して白内障を発症するリスクが高く、また発症年齢も若い傾向があります。
糖尿病網膜症と白内障が併発した場合、それぞれの症状が重なり合い、視力障害がより深刻になる可能性があります。
白内障手術は、濁った水晶体を取り除き、人工水晶体を入れることで視力回復を目指します。糖尿病網膜症を合併している場合、手術の難易度や術後の経過に影響を与える可能性があるため、術前検査を十分に行うことが重要です。
手術は、白内障による視力障害を改善するだけでなく、糖尿病網膜症の治療や経過観察も容易になります。
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その他の目の病気との関連性:網膜静脈閉塞症など

糖尿病網膜症以外にも、糖尿病患者は網膜静脈閉塞症(もうまくじょうみゃくへいそくしょう)などの他の目の病気を発症するリスクが高まります。
網膜静脈閉塞症は、網膜の静脈が閉塞することで網膜に血液が供給されなくなり、視力障害を引き起こす病気です。
糖尿病網膜症と網膜静脈閉塞症はそれぞれ異なる病態を持つものの、両疾患とも糖尿病による血管障害が病因に関わっているため、同時発症や関連性の可能性も考慮する必要があります。
これらの疾患を早期に発見し、適切な治療を行うためには、糖尿病患者は定期的な眼科検診を受けることが必要不可欠です。

総合的な眼科ケアの重要性:専門医による連携と適切な対応

糖尿病患者は、糖尿病網膜症だけでなく、緑内障や白内障、網膜静脈閉塞症など、複数の目の病気を併発する可能性があります。
そのため、糖尿病患者に対する眼科ケアは、単一の疾患への対応ではなく、総合的な視点に立ったアプローチが重要です。
眼科専門医と連携し、個々の患者の病状に合わせた適切な治療計画を立て、定期的な経過観察を行うことで、視力障害の予防・改善に繋がるでしょう。

糖尿病網膜症の早期発見と適切なケアで視力を守る

良好な視界
糖尿病網膜症は、早期発見と適切なケアによって視力障害の進行を抑制し、良好な視機能を維持できる可能性が高い疾患です。
そのため、日頃から注意すべき点や、専門医による診察・治療の重要性を理解することは非常に重要です。

早期発見のためのセルフチェックと定期検診

眼科検査
糖尿病網膜症は初期段階では自覚症状がないことが多いため、定期的な眼科検診が不可欠です。しかし、日頃から以下のセルフチェックを行うことで、早期発見の機会を増やすことができます。
  • 視界がぼやける
  • 視野の一部が欠ける
  • 物が歪んで見える
  • 光がまぶしく感じる
これらの症状を感じた場合は、すぐに眼科医を受診しましょう。
また糖尿病患者は、症状がない場合でも、糖尿病の診断後早期から、少なくとも年1回は眼科検診を受けることが推奨されています。

適切なケア:血糖コントロールの重要性

血糖値計測
糖尿病網膜症の予防と治療において、最も重要なのは血糖コントロールです。
良好な血糖コントロールは、網膜へのダメージを最小限に抑え、病気の進行を遅らせる効果があります。そのため、医師の指示に従い、適切な食事療法、運動療法、そして必要であれば薬物療法を行うことが大切です。
生活習慣の改善に加え、定期的な血糖値測定を行い、自身の血糖状態を把握することも重要です。

治療法の選択と継続的なフォローアップ

相談
糖尿病網膜症の治療法は、病状の進行度合いに応じて選択されます。
初期段階では、生活習慣改善と定期的な観察が中心となりますが、病状が進行した場合には、レーザー治療や硝子体手術などの積極的な治療が必要となるケースもあります。
治療後は、定期的な経過観察を行い、視力や網膜の状態を継続的にモニタリングすることが重要です。
医師の指示に従い、治療を継続することで、視力の維持・改善に繋げることが可能です。

生活習慣の改善とサポート体制

バランスの取れた食事
糖尿病網膜症の予防には、生活習慣の改善が不可欠です。
バランスの良い食事、適度な運動、禁煙など、健康的な生活習慣を心がけることが重要です。
また糖尿病患者は、精神的なストレスも網膜へのダメージに影響を与える可能性があるため、ストレス軽減のための工夫も必要です。
必要に応じて糖尿病専門医や管理栄養士、心理士などの専門家のサポートを受けることで、より効果的な生活習慣改善と精神的なケアを行うことが可能です。

網膜症については、お気軽に相模原眼科にご相談ください

糖尿病網膜症は、早期発見と適切な治療が非常に大切です。
放置すると失明の危険性もあるため、少しでも気になる症状があれば、すぐに眼科を受診することが重要です。
この記事では、糖尿病網膜症の初期症状から予防、治療までを徹底的に解説しました。しかし、この記事だけでは不安が残るかもしれません。
より詳しい情報や、あなた自身の目の状態を専門医に診てもらうには、是非網膜の手術対応している眼科にご相談ください。
相模原眼科外観
相模原眼科でも網膜症の緊急手術にも対応しておりますので、この記事を読んで少しでも気になった方はお気軽にご相談下さい。的確な診断とアドバイスを行い、治療が必要な場合は最適な治療方法を提案させて頂きます。
重症症例に関しては、北里大学、慈恵医大病院、厚木市立病院、町田市民病院と緊密に連携をとり、紹介しております。