院長ブログ
学校健診で視力に引っかかったら 子どもの近視を放置しない理由
2026年06月29日
学校健診で視力に引っかかったら 子どもの近視を放置しない理由
「学校から視力の再検査票が届いた」「先生に眼科へ行くよう言われた」――そのお知らせを手にして、心配されている保護者の方も多いのではないでしょうか。
学校の視力検査は、精密な検査ではなくスクリーニング(ふるいわけ)です。引っかかったからといって、すぐに深刻な病気があるわけではありません。ただ、それが「近視のサイン」だとしたら、早めに動くことが将来の目の健康を大きく左右することがあります。
このページでは、視力検査のA〜D判定の意味から、子どもの近視がなぜ早期対応が大切なのか、そして座間市・相模原市の相模原眼科で行っている近視抑制治療まで、保護者の方に知っていただきたいことをまとめました。
学校の視力検査とは?A〜Dの判定基準を知っておこう

学校で毎年行われる視力検査は、「日常生活や学習に支障がないかどうか」を確認するためのスクリーニング検査です。視力をA〜Dの4段階で評価します。
判定|視力の目安|日常生活への影響|推奨する行動
A|1.0以上|ほぼ支障なし|定期的な観察を継続
B|0.7〜0.9|遠くの黒板が見えにくいことも|眼科での精密検査を推奨
C|0.3〜0.6|黒板の文字が見えづらく学習に影響が出始める|早めに眼科を受診
D|0.2以下|日常生活全般に支障が出ている状態|速やかに眼科を受診
C・D判定の場合、すでに黒板の文字が見えづらい状態になっていることが多く、授業に集中しにくい環境になっている可能性があります。
B判定の段階から近視が始まっているケースも多く、この時期こそ進行を抑えるチャンスです。
引っかかる原因のほとんどは「近視」

学校の視力検査でB・C・D判定になる原因としては、近視(きんし)が最も多く見られます。
遠視・乱視・斜視・弱視など、他の原因が見つかるケースもゼロではありません。ただ、小学生から中学生の視力低下においては、近視が占める割合が圧倒的です。眼科を受診することで、視力低下の正確な原因を把握することができます。
近視とは何か?「目が悪い」の正体を知ろう
近視とは、遠くのものがぼやけて見えにくくなる状態のことです。「目が悪い」「視力が悪い」と日常的に表現される症状の多くは、この近視を指しています。
近視が起きるしくみは、目の奥行き(眼軸長)が伸びすぎてしまい、見たものの焦点が網膜よりも手前で結ばれてしまうことにあります。
ここで重要なのは、一度伸びてしまった眼軸長は、基本的に元の長さには戻らないという点です。つまり、進んでしまった近視の分の視力は、治療によって取り戻すことが難しいのです。だからこそ「進ませないこと」「早い段階で食い止めること」が、近視治療の根本的な考え方になります。
子どもの近視は学童期に急速に進みやすい

近視が最も進行しやすい時期は、小学生から中学生にかけての学童期です。この時期は身体の成長に伴って眼球も急速に発育するため、近視が短期間で悪化しやすい傾向があります。「去年はA判定だったのに、今年いきなりC判定になった」というご相談は、当院でも珍しくありません。
また、近視が強い状態(強度近視)になると、将来的に網膜剥離・緑内障・黄斑変性といった目の病気を発症するリスクが高まることが、眼科の研究で報告されています。近視は「少し目が悪いだけ」ではなく、将来の目の健康とも深く関係している状態です。
こんな様子があったら、早めに眼科へ
学校の視力検査の結果だけでなく、日常生活の中でも近視のサインが現れることがあります。お子さんに以下のような様子が見られたら、一度眼科への受診を検討してみてください。
テレビを見るとき、または黒板を見るときに目を細める
本や教科書を顔にぐっと近づけて読む
遠くのものを見て「あれ何?」と聞いてくることが増えた
授業で前の席を希望するようになった
頭痛や目の疲れを訴えることが増えた

こうした行動は「なんとなく見えにくくなってきている」サインである可能性があります。学校健診の結果を待たずとも、気になったタイミングで受診していただくことをおすすめします。
眼鏡をかけるだけでは不十分な理由
「近視になったら眼鏡をかければいいのでは?」と思われる親御さんも多くいらっしゃいます。
眼鏡やコンタクトレンズは「見えるようにする」ための道具として大切なものです。ただし、眼鏡は視力を補正するものであり、近視そのものの進行を抑えるものではありません。
眼鏡をかけながらも近視がどんどん進行し、中学・高校を卒業するころには強度近視になっていたというお子さんは少なくありません。「見える状態にする」ことと「進行を抑える」ことは、別のアプローチが必要なのです。
近視抑制治療は早いほど、効果が期待しやすい
「もう少し様子を見てから」と思っている親御さんに、お伝えしたいことがあります。
近視の進行を抑える治療(近視抑制治療)は、近視が軽い段階から早期に始めるほど、効果が期待しやすいとされています。
理由のひとつは、眼軸長がまだ大きく伸びていない段階で介入することで、進行を食い止めやすくなるからです。もうひとつは、低学年のうちほど治療の介入効果が高いという研究報告があるためです。特に小学校低学年(1〜3年生)の時期は眼球の発育が活発で近視が急速に進みやすい一方、この時期から適切な治療を始めることで進行を抑える効果が期待しやすいとされています。
近視抑制治療の効果が期待できるのは、一般的に近視の進行が落ち着く18歳ごろまでとされています。「まだ小学生だから」ではなく、「小学生のうちに始める」という発想の転換が、将来のお子さんの目を守ることにつながります。
相模原眼科の近視抑制治療
相模原眼科では、お子さんの近視の状態・生活環境・ご家族のご希望をもとに、複数の近視抑制治療の中から最適な方法をご提案しています。
院長はシンガポールに在住経験があり、世界有数の近視研究の知見をもとに日本の医師向けガイドの執筆やセミナー講師も担当しています。日本人学童1,000名以上への治療経験を積み重ねてきた中で、一人ひとりの状態に合った治療をご提案することを大切にしています。
以下の治療はすべて自由診療(保険適用外)です。費用・リスク・副作用については、診察時に詳しくご説明します。
① オルソケラトロジー(ナイトレンズ治療)

就寝中に特殊なハードコンタクトレンズを装着し、角膜の形を整える治療法です。朝にレンズを外した後も矯正された状態が日中続くため、日中は裸眼で過ごすことができます。
近視の進行抑制効果があるとされており、スポーツや水泳をするお子さん、眼鏡をかけたくないお子さんにも取り入れやすい治療です。強度近視のお子さんに対しても適応できる場合があります。
※レンズの正しい取り扱いには保護者のサポートが欠かせません。定期的な通院による経過確認が必要です。(自由診療・保険適用外)

就寝中にレンズで角膜を矯正し、日中は裸眼で過ごせるオルソケラトロジーの仕組みを示した図です。専用のハードコンタクトレンズが角膜の形を緩やかに整え、視力を補正します。
② 低濃度アトロピン点眼

就寝前に1日1回点眼するだけで、近視の進行を抑える効果が期待されている点眼薬です。相模原眼科では、お子さんの状態に合わせて2種類の濃度を使い分けています。
リジュセアミニ(0.025%|参天製薬)
国内で承認・販売されている近視進行抑制点眼薬で、当院では基本的にこちらを使用しています。就寝前に1日1回点眼します。
低濃度アトロピン点眼(0.01%)
シンガポール国立眼科センターの研究をもとに開発された点眼薬で、シンガポールからの輸入品となります。0.025%で副作用(まぶしさ・近くが見えにくいなど)が気になる方には、こちらをご提案することがあります。
※いずれも自由診療(保険適用外)です。効果には個人差があります。継続的な点眼と定期的な経過確認が必要です。費用・リスク・副作用の詳細は診察時にご説明します。
③ オルソケラトロジー+低濃度アトロピン点眼の併用(最も有効)
相模原眼科では、オルソケラトロジーと低濃度アトロピン点眼を組み合わせた併用療法をご案内しています。2つの治療を組み合わせることで、それぞれ単独で行う場合よりも高い進行抑制効果が期待できるとされており、近視の抑制アプローチの中でも特に有効とされている方法です。
お子さんの状態やご家庭の生活環境によっては、まず単独の治療から始めて、様子を見ながら併用に移行するご提案をすることもあります。
※いずれも自由診療(保険適用外)です。費用・リスクは診察時にご説明します。
④ 多焦点コンタクトレンズ(マイサイト)
遠くも近くも1枚のレンズで補正できる多焦点コンタクトレンズを用いた治療法です。当院では、クーパービジョン社のマイサイト(MiSight®)を第一選択としてご提案しています。マイサイトは近視進行抑制を目的としたコンタクトレンズとして日本国内で承認を受けており、日中の装用に適しています。
なお、シード社EDOF・メニコン社DUOは日本国内では近視抑制目的の承認を受けていないため、現在は取り扱いを行っておりません。
※自由診療(保険適用外)です。装用の管理に保護者のサポートが必要です。費用・リスク・副作用の詳細は診察時にご説明します。
⑤ 近視管理用眼鏡(ミオスマート・ステレスト)
2026年6月1日より、近視の進行抑制を目的とした近視管理用眼鏡が日本で販売開始となりました。当院では以下の2製品を取り扱っています。
HOYAのミオスマート(MiYOSMART)
特殊なレンズ設計により、通常の眼鏡をかけながら近視の進行を抑える効果が期待されています。
ニコンのエシロールステレスト(Essilor Stellest)
独自のH.A.L.T.レンズ技術を採用した近視管理眼鏡です。
コンタクトレンズの装用が難しいお子さんや、低年齢で点眼の継続が難しいケースなどでは、近視管理用眼鏡が第一の選択肢となる場合があります。
ご注意:眼科の処方箋が必要です
近視管理用眼鏡は、眼科医が発行した処方箋と製品の記載がなければ、眼鏡店では購入できません。まずは眼科を受診の上、お子さんの状態に合った処方を受けてください。
※自由診療(保険適用外)です。効果には個人差があります。定期的な経過確認が必要です。費用・詳細は診察時にご説明します。
どの治療法が最適かは、お子さんの近視の度合い・年齢・生活環境・ご家族のご希望によって異なります。「うちの子にはどれが向いているの?」という段階からご相談いただけます。
近視抑制治療の効果が期待できる18歳までを意識して、早めにご来院ください。
詳しくは 近視抑制治療ページ もご覧ください。
眼科ではどんな検査をするの?

「眼科に行ったら何をされるんだろう」と不安に思う親御さんもいらっしゃいます。相模原眼科では、お子さんの視力が心配でご来院される場合、以下のような検査を行います。
視力検査
裸眼視力・矯正視力を計測します
屈折検査
近視・遠視・乱視の度合いを確認します
眼軸長測定
眼球の奥行きを測定し、近視の進行度合いを把握します
調節機能の確認
仮性近視(偽の近視)との鑑別を行います
学校の視力検査はスクリーニングのため簡易的な検査ですが、眼科では精密な検査によって現状を正確に把握することができます。
よくあるご質問
Q. 学校の視力検査でB判定でも眼科に行く必要がありますか?
A. B判定(視力0.7〜0.9)でも早めの受診をおすすめします。B判定の段階から近視が始まっているケースも多く、この時期に適切な対応をすることで進行を抑えやすくなります。C・D判定になる前に一度眼科でご確認ください。
Q. 学校の視力検査でC判定が出ました。すぐに眼科に行く必要がありますか?
A. はい、早めの受診をおすすめします。C判定(視力0.3〜0.6)はすでに黒板の文字が見えづらい状態です。近視であれば適切な眼鏡の処方と、状況によっては近視抑制治療を検討することで、これ以上の進行を抑えることが期待できます。
Q. 子どもの近視は治りますか?
A. 一度進んだ近視(眼軸長が伸びた状態)を元に戻すことは難しいとされています。ただし、近視抑制治療によって進行のスピードを遅らせることが期待できます。早期に治療を始めるほど効果が出やすいため、できるだけ早いご受診をおすすめします。
Q. 子どもの近視抑制治療は何歳から受けられますか?
A. 治療法によって異なりますが、オルソケラトロジーや低濃度アトロピン点眼は小学生から受けられる場合があります。近視の進行が落ち着く18歳ごろまでの早期開始が推奨されています。お子さんの年齢・近視の程度・生活環境をもとに、診察時に医師が適切な治療法をご提案します。
Q. 近視抑制治療は保険が使えますか?
A. 近視抑制を目的としたオルソケラトロジー・低濃度アトロピン点眼(0.01%)・多焦点コンタクトレンズ(メニコン社DUO、シード社EDOFなど)はいずれも自由診療(保険適用外)となります。費用の詳細は診察時にご説明します。
Q. オルソケラトロジーと点眼薬はどちらが効果的ですか?
A. 相模原眼科では、オルソケラトロジーと低濃度アトロピン点眼の併用が近視の進行抑制に最も有効とご案内しています。お子さんの状態やご家族の希望によって最適な治療は異なりますので、まずは診察にてご相談ください。
Q. 座間市・相模原市から通いやすいですか?
A. はい。相模原眼科は小田急相模原駅から徒歩5分(神奈川県座間市相模が丘5-6-19)に位置しており、座間市・相模原市・海老名市など周辺地域からも多くのお子さんとご家族にご来院いただいています。
Q. オルソケラトロジーは子どもでも装用できますか?
A. 小学生から装用できる場合があります。ただし、就寝中にレンズを装用するため、保護者がレンズの取り扱いをサポートできる環境が必要です。お子さんの年齢・近視の度合いを確認した上で、診察時に医師が適応を判断します。
まとめ
学校の視力検査でB・C・D判定が出た場合、原因のほとんどは近視
近視は学童期に急速に進行しやすく、眼軸が一度伸びると元には戻りにくい
強度近視になると将来的に目の病気リスクが高まる可能性が研究で報告されている
眼鏡は視力の補正はできるが、近視の進行そのものを抑えるものではない
近視抑制治療は早期に始めるほど効果が期待しやすく、18歳までが重要な時期
相模原眼科では、オルソケラトロジー・低濃度アトロピン点眼・多焦点コンタクト(マイサイト)・近視管理用眼鏡をご提案(すべて自由診療)
特にオルソケラトロジーと低濃度アトロピン点眼の併用が、進行抑制として有効とされている
学校健診のお知らせや日常の行動サインを見かけたら、早めに眼科へ
学校からのお知らせは、お子さんの目の状態を知る大切なきっかけです。「大したことないかも」と後回しにせず、ぜひ一度ご来院ください。
相模原眼科では、相模原市・座間市・海老名市など周辺地域からも多くのお子さんとご家族にご来院いただいています。近視抑制治療に関してご不明な点がありましたら、診察時にお気軽にご相談ください。

<執筆者情報>
(財)日本眼科学会 眼科専門医
相模原眼科 院長 岡野 喜一朗
シンガポールに在住経験を持ち、世界有数の近視研究の知見をもとに近視抑制治療を専門的に実施。日本人学童1,000名以上への治療経験をもとに、一人ひとりに合った治療をご提案しています。
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