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白内障手術

目次

白内障とは

白内障とは目の水晶体が濁り、視力が低下する病気です。水晶体は、カメラでいうとレンズの役割を持ち、外からの光を集めてピントを集め、網膜に届ける組織です。通常は透明ですが、水晶体が濁ると視界がぼやけ、視力が低下します。
白内障について、詳しくは以下サイトをご確認ください。

白内障の治療方法は手術一択

白内障は水晶体が濁る病気であり、残念ながら一度濁った水晶体を投薬などで元に戻すことはできません。
進行を遅らせる目薬を使う場合もありますが、元の綺麗な視界を取り戻すための唯一の方法は手術となります。

タイミングは早期がおすすめ

目がつらい痛い
特に40才を超えると、加齢性の白内障は増え始めます。手術を受けるとなると迷われる方が多くなりますが、少しでも早いほうが他の眼病疾患のリスクが減るうえ、早くに元の視界を取り戻すことができるため、日常生活で症状が気になり始めたら手術のタイミングかもしれません。
いずれにしても、患者様ご本人の心の準備が大切です。
一人で悩まずに、お気軽に医師にご相談ください。いろいろな前例もご紹介させていただきます。

白内障手術は水晶体の取り換え作業(日帰り手術)

作業イラスト
白内障手術では、濁った水晶体を取り除き、人工レンズへの取り換えを行います。非常にシンプルで短時間で終わる、日帰り手術です。
  • 白内障の手術方法は、超音波乳化吸引手術という超音波を使って水晶体を細かく砕いて吸引する手術です。
  • 水晶体の吸引後は、もともと水晶体があった場所に人工の眼内レンズを挿入します。
傷口は大変小さくて感染症のリスクは低い上、縫合の必要もありません。
手術時間は約15分程度と短く、当日ご自宅へお戻りいただけるため患者様へのご負担も小さな手術です。

単焦点レンズと多焦点レンズ

白内障の手術で使用する眼内レンズは、単焦点レンズと多焦点レンズの2種類があります。
通常の白内障手術で保険適応で使用する眼内レンズは、単焦点レンズです。文字通り、1点のみに焦点を合わせるレンズです。
そのため、遠くに焦点を合わせるレンズを使えば手元が見づらくなるため、老眼鏡でカバーする必要があります。
また近くに焦点を合わせるレンズを使えば、遠くが見づらいため近視用の眼鏡を使って遠方を見る視力をサポートする必要があります。
この手間を省いてくれる眼内レンズが、多焦点レンズ(保険適応外)です。
多焦点は遠近双方にピントが合うため、都度眼鏡をかけ外しする必要はなく大変便利なレンズです。しかしまれに多焦点レンズが合わないという方もいるため、安易に決めることはおすすめしません。
担当医師とご相談の上、慎重な選択をおすすめします。

多焦点レンズの特徴

相模原眼科の白内障手術における多焦点レンズは、数多く存在する多焦点眼内レンズの中から院長自ら厳選した多焦点眼内レンズのみ採用しています。
それぞれのレンズの特徴は以下となります。患者様の生活状況などを確認させて頂き、最適な多焦点レンズをご提案させて頂きます。
名称 Clareon® PanOptix®
クラレオン パンオプティクス
TECNIS Synergy®
テクニスシナジー
Clareon® Vivity®
クラレオン ビビティ
レンズ外観
メーカー Alcon Johnson & Johnson Alcon
構造 3焦点回折型 連続焦点型
(回析型2焦点・焦点深度拡張型)
波面制御テクノロジー
焦点の特性 遠方・中間・近方 遠方〜中間(連続的)・近方 遠方・中間
近距離の焦点 40cm~60cm ∞~33㎝ 50cmまで
近方の見え方
※読書やスマホなど
中間の見え方
※パソコン作業など
遠くの見え方
※日常の運転など

※夜間の運転は注意
乱視矯正 ×
ハロー・グレア やや少ない やや少ない かなり少ない
夜間の見え方
コントラスト
生産国 アメリカ アメリカ アメリカ
メリット 3焦点型であるため、どの距離にもピントが合わせやすいのが特徴です。瞳孔径の変化による影響を受けにくいので、明るさに依存しない安定した見え方が期待できます。 焦点深度拡張型で、遠方から近方にかけて自然な見え方が特徴です。手元の見え方がよく、読書などの手元の作業を眼鏡を使うことなく裸眼で行えることが期待できます。 夜間の運転が多い方はハロー・グレア現象が気になる方もおられると思いますが、このレンズはハロー・グレア現象がかなり軽減されているのが特徴です。
デメリット 人によってはハロー・グレア現象が起こる場合があります。 ハロー・グレア現象が起こりやすいため、夜間の運転時などの見え方は他の多焦点眼内レンズと比べて劣ります。ただし、約半年でハロー・グレア現象は改善することが多いです。 30~40cm程度の手元が見えにくく、眼鏡が必要となる場合が多いです。
お勧めの方
  • 明るさに関係なく安定した見え方を希望される方
  • なるべく眼鏡で見たい方
  • 近くでもなるべく眼鏡なしで作業をしたい方
  • 夜間の運転や暗い光の下での作業が少ない方
  • 夜間の運転が多い方
  • 手元は眼鏡をかけてもよいと思える方
費用(片目) 乱視無:27万円
乱視有:29万円
乱視無:27万円
乱視有:29万円
乱視無:28万円
乱視有:メーカー未発売

笑気麻酔で痛みと緊張を緩和

通常点眼麻酔で行うことが多かった手術ですが、当院では歯科で利用されている安全な笑気麻酔をお選びいただくことも可能です。
笑気麻酔は、全身麻酔のように意識がなくなることはなく、ボーっとしながら痛みや緊張をやわらげることができます。
患者さんの心身のご負担を最小限にしてくれる麻酔です。

費用

白内障の手術費用は、大きく分けて3つのパターンがあります。
全て保険診療と思われる方もいるかもしれませんが、適用する眼内レンズによって保険診療となるか自費診療となるかが変わります。
日本では、原則保険診療と自費診療の混合診療が禁止されております。しかしながら、厚生労働省の選定療養の対象となっている眼内レンズについては、レンズ料のみ自費診療とし、検査料・手術料等を保険診療とすることが認められております。選定療養の対象となっていない未承認レンズについては、診察料・検査料・手術料・レンズ料の全てが自費診療となります。
相模原眼科では、保険診療の単焦点レンズと選定療養費として認められている多焦点レンズを取り扱っておりますので、保険診療を適用しての白内障手術が可能です。
費用項目 パターン① パターン② パターン➂
単焦点レンズ 多焦点レンズ
選定療養 非選定療養
検査料 保険診療 保険診療 自費診療
手術料 保険診療 保険診療 自費診療
レンズ料 保険診療 自費診療 自費診療
特記 全てが保険診療 レンズ料が自費診療で、それ以外が保険診療 全てが自費診療
単焦点レンズの保険診療と多焦点レンズの自費診療での場合のレンズの自己負担額は、以下となります。
患者様の要望と、患者様の生活習慣にあったレンズをご紹介させて頂きますので、ご自身にあった眼内レンズにて手術させて頂きます。

単焦点レンズの保険診療の費用

保険の自己負担割合 費用
片目 両目
1割 約1万5千円 約3万円
2割 約3万円 約6万円
3割 約4万5千円 約9万円

多焦点レンズの自費診療の費用

メーカー 製品名 費用(片目)
乱視無 乱視有
アルコン パンオクティプス 27万円 29万円
JJ シナジー 27万円 29万円
アルコン ビビティ 28万円 メーカー未発売
その他、費用負担が変わる項目としては、手術を受ける年齢(保険適用の割合)、制度や仕組みの利用によっても自己負担額が変わってきますので、以下ご紹介いたします。
<手術を受ける年齢(保険適用の割合)>

年齢によって、保険適用の内容が異なることがあります。
特に、高齢になると保険の適用範囲が広がることが多く、手術にかかる自己負担が減少することがあります。しかし、若年層では保険の適用が限定的な場合が多いため、事前にしっかりと保険の適用条件を確認しておくことが大切です。

年齢別保険の自己負担割合

一般・低所得者 現役並み所得者
70歳未満 3割負担 3割負担
70歳~74歳 2割負担
75歳以上 1割負担
<制度や仕組みの利用>

日本には、高額医療費制度や障害者手帳を持つ方向けの補助、任意で加入している保険など、医療費を支援する制度や保障が存在します。これらの制度や保障を利用することで、手術費用の負担を軽減することが可能です。
手術を検討されている方は、事前に市町村の窓口や保健所、保険会社に相談してどのような支援が受けられるのか確認頂くとよいと思います。

高額療養費制度

高額療養費制度とは、医療費が高額になった場合に還付を受けられる制度があります。高額療養費制度は、高額な医療費が生活を逼迫しないように定められた制度で、その月の窓口負担が一定の限度額を超えると、限度額を超えた額が市町村、協会けんぽ、健康保険組合などのから払い戻しされる仕組みです。年齢や収入によって額が異なっております。

70歳未満の方の区分

所得区分 自己負担限度額
標準報酬月額83万円以上の方
報酬月額81万円以上の方
252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
標準報酬月額53万~79万円の方 167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
標準報酬月額28万~50万円の方 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
標準報酬月額26万円以下の方
報酬月額27万円未満の方
57,600円
市区町村民税の非課税者等 35,400円

70歳以上75歳未満の方の区分

被保険者の所得区分 自己負担限度額
個人 世帯
現役並み①-Ⅰ
標準報酬月額83万円以上
252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
現役並み①-Ⅱ
標準報酬月額53万〜79万円
167,400円+(総医療費-558,000円)×1%

現役並み①-Ⅲ
標準報酬月額28万〜50万円
80,100円+(総医療費-267,000円)×1%

一般所得者②(①および③以外の方) 18,000円
※年間上限14.4万円
57,600円
市区町村民税の非課税者等➂-Ⅰ 8,000円 24,600円
被保険者とその扶養家族全ての方の収入から必要経費・控除額を除いた後の所得がない場合➂-Ⅱ 15,000円

白内障手術の副作用・合併症

白内障の手術は、眼科で最も多く行われている手術と言われており、非常に安全性の高い手術です。
しかしながら、合併症などのリスクは考えられます。
ここでは、白内障手術中、白内障手術後に起こり得るリスクについて説明します。

白内障手術中の合併症の可能性

[駆逐性出血]
駆逐性出血とは、手術中または手術後に血圧の上昇などをきっかけとして眼球内部の奥に走る血管の脈絡膜という膜の一部に出血が生じる合併症です。発症頻度は10,000件に1件程度と極めて稀な合併症ですが、発症すると適切な処置をもってしても視力が戻らない可能性があります。

[水晶体嚢破損・水晶体の落下]
水晶体嚢破損(すいしょうたいのうはそん)とは、水晶体嚢(すいしょうたいのう)が手術中に破れてしまうことです。白内障手術では水晶体嚢の中身だけを吸い出しますが、水晶体嚢のの後ろ側が破れてしまうことで、目の奥の硝子体に水晶体の中身が落ちてしまう場合が有り、これが水晶体の落下と言います。
水晶体の落下が起きると硝子体手術が必要となり、設備がない医療機関では大学病院等へ緊急搬送されることになります。相模原眼科では、日帰り硝子体手術にも対応しておりますので、万が一水晶体の落下が起きた場合でもそのまま手術対応が可能です。

[チン小帯断裂]
チン小帯とは、水晶体の全周をまわりから支えて固定している無数の非常に細かな線維状の組織です。このチン小帯が切れていたり、弱くて手術中に切れてしまうことをチン小帯断裂と言います。チン小帯断裂が起きると水晶体を十分に固定できなくなり、水晶体全体が丸ごと目の奥の硝子体に落下してしまう、水晶体の落下をする場合があります。
チン小帯断裂の場合は、眼内レンズを眼球壁に固定する手術や縫い付ける手術といった追加の手術が必要となります。

白内障手術後の合併症の可能性

[眼内炎]
眼内炎(がんないえん)とは、白内障手術後にばい菌が入って炎症することです。日本国内での発生頻度は0.05%(2,000~3,000件に1例)が発症されていると言われております。
白内障手術後の3日~1週間に起こる急性眼内炎と、白内障手術後の1か月以上経って起こる遅発性眼内炎があります。急性眼内炎は、視力低下、眼痛、羞明(まぶしさ)、充血などの症状が起こり、細菌の種類によっては失明することがある病気で、白内障手術の中で最も怖い合併症です。そのため、白内障手術後の通院は1週間以内に設定させて頂いております。
予防法は、白内障手術前の3日前からの抗生剤点眼、手術直前の消毒や洗眼、手術機器の滅菌、手術後の点眼、手術後の生活の指導などがあります。しかしながら、日常のどこにでも細菌は存在しており、100%予防することができないのが現状です。

[眼圧上昇]
眼圧上昇とは、眼圧が上昇することです。白内障手術後に、一過性に眼圧が上がることがありますが、ほとんどの場合は数日で下がります。

[飛蚊症]
飛蚊症(ひぶんしょう)とは、黒く小さな点が見える、透明の糸くずのようなものが浮遊しているなど、本来見えるはずのないものが視界に浮かんで見える状態のことです。白内障手術後に飛蚊症を訴えられる方がいますが、ほとんどの場合が元来自分の目の中にある濁りが白内障手術をしたことで明るくなったために、余分なものまで見える現象があります。但し非常に稀にですが、炎症や網膜剥離などが起こっている可能性がありますので、注意が必要な症状でもあります。

[水疱性角膜症]
水疱性角膜症(すいほうせい かくまくしょう)とは、角膜内皮細胞が障害をうけて、角膜に多量の水がたまる病気です。
目の表面には角膜という透明な部位があり、角膜の裏側には角膜内皮細胞という角膜から水分を排出している細胞があります。白内障手術によって角膜内皮細胞が減少し過ぎると、角膜に水が溜まってしまいスリガラス状に濁ってしまい、見えにくくなります。
白内障手術前に角膜内皮細胞の数を測っていますので、元々角膜内皮細胞の数が少ない患者様には水疱性角膜症のリスクを説明させて頂きます。

[後発白内障]
後発白内障とは、白内障手術後の数か月~数年で眼内レンズを入れている水晶体嚢(すいしょうたいのう)が濁る病気です。白内障は水晶体が濁って見えにくくなりますが、白内障手術を受けている方は水晶体を取り除いていますので改めて白内障にかかることはありません。後発白内障は、白内障手術で取り除いた水晶体の裏側にある水晶体嚢が濁ることで視力低下などの症状が出る病気です。
後発白内障で改めて治療する方は2割程度と言われており、レーザー治療で濁りをとることができます。一度レーザー治療で濁りをとるともう濁ることはありませんので、改めての再発がなくなります。

白内障手術の流れ

STEP1

手術日程の決定

・担当医から手術の説明をいたします。
・スタッフより、当日までの準備や日常生活の注意点をご説明します。
・服用中のお薬についてご相談ください。
・手術同意書をお渡しします。
STEP2

手術前日

・入浴、洗髪をお済ませの上、ゆっくりお休みください。
STEP3

手術当日

・普段通りのお食事を済ませてご来院ください。車での来院は避け、公共交通機関でのご来院や、ご家族同伴でのご来院が安心です。
・体温、血圧を測ります。
・点眼、麻酔後に手術を開始します。(通常15分程度で終了)
・終了後は少しの間院内で安静にして頂き、異常がなければご帰宅いただきます。目が疲れることはできるだけ控え、ゆっくりと睡眠をとってください。
STEP4

手術後

・目のケアの方法は、必ず医師の指示基づいて行ってください。
・入浴、洗髪なども、医師の指示通りにお願い致します。
・決められた回数の点眼を忘れず行うようにしてください。
・気になることがある場合は、クリニックにご連絡ください。
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